非営利系

区分経理と按分基準

非営利系の法人は実施している事業ごとに収支を把握するため、区分経理を求められることが多々あります。

◇制度上区分経理を求められる場合
・公益法人が複数の公益目的事業や収益事業を実施している場合
・一般法人が公益目的支出計画を実施している場合
・NPO法人が複数の事業を定款に定めている場合
◇税務上区分経理を求められる場合
・法人税法上の収益事業と非収益事業の両方を実施している場合
◇その他
・補助金等の実績報告を行う必要がある場合
・法人会計の区分、管理費の区分が求められる場合

区分経理するためには、①特定の事業に対応する直接費用を区分する ②複数の会計や事業に関係する共通費用を按分する という手順が必要です。
①は分かりやすいですが、②は”按分基準をどうするか”という検討事項が生じます。按分基準は可能な限り実態に応じた合理的なものを設定しなければなりません。
主な按分基準には以下のものがあります。

按分基準考え方対象となる費用
従事割合その人の総労働日数や時間、月数などにおける各事業の従事日数(時間、月数)を基準とします。個人別、所属別等で按分します。従事した実績によって変動する費用が対象と考えられます。役員報酬、職員の給与、賞与、賃金、退職給付費用、等
職員数各事業に従事する職員数を基準とします。一人あたりの費用が同程度となる費用が対象と考えられます。福利厚生費、消耗品費、等
使用割合総使用日数や時間、月数などにおけるそれぞれの事業の従事日数(時間、月数)を基準とします。使用記録をつけたり、従事割合を累積するという方法が考えられます。車両関連費、通信費、水光熱費、リース料、等
面積割合総面積のうち、各事業の使用面積を基準とします。建物等の減価償却費、地代家賃、固定資産税、等
収入金額収入の規模に応じて事業費も変動するような場合が考えられます。変動費
事業費率各事業の事業費は実際の事業規模と考えることもできるので、事業費率も基準となります。その他、どの基準でも按分が難しい費用

上記はあくまで一例です。その団体の必要性に応じて按分基準を検討しましょう。あまり厳格にしすぎると事務作業が大変になりますので、基準の合理性と事務効率の両方から検討することも必要です。
按分対象となる費用を簡単に抽出できるような日々の工夫も大切です。

按分計上を行うタイミングは決められていません。
毎月しっかり事業ごとの収支を把握する必要があればその都度や月に1度按分する必要がありますし、決算時に把握するので十分な場合は年1回ということもあります。

按分計上が間違っている場合(按分基準の適切さではなく、設定した按分基準がきちんと区分経理に反映されていない場合)、事業ごとの収支の把握や要件の判定、税務申告等にも影響が出ます。
按分後は適切に按分計上できているか確認しましょう。
按分の根拠資料は提示できるようにしておきましょう。

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