非営利系

非営利型法人と法人税

◇収益事業

非営利型法人は原則として収益事業課税です。
収益事業とは限定列挙されている次の34 の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいいます(法人税法2十三、法人税法施行令5①)。その性質上収益事業に付随して行われる行為も含みます。

≪収益事業の範囲≫
1 物品販売業 2 不動産販売業 3 金銭貸付業 4 物品貸付業 5 不動産貸付業
6 製造業 7 通信業 8 運送業 9 倉庫業 10 請負業
11 印刷業 12 出版業 13 写真業 14 席貸業 15 旅館業
16 料理店業その他の飲食店業 17 周旋業 18 代理業 19 仲立業 20 問屋業
21 鉱業 22 土石採取業 23 浴場業 24 理容業 25 美容業
26 興行業 27 遊技所業 28 遊覧所業 29 医療保健業 30 技芸教授業
31 駐車場業 32 信用保証業 33 無体財産権の提供等を行う事業 34 労働者派遣業

収益事業を行っている場合、収益事業に対してのみ法人税が課税されます
上記に該当しなければ非収益事業として法人税は課税されませんので、収益事業と非収益事業の両方を実施している場合は区分経理が必要です
なお、収益事業を行っていなかった法人が新たに収益事業を開始する場合は、所轄税務署長に収益事業の開始届を提出する必要があります。

◇34業種を行っていても申告納税義務がない場合

上記34の事業を行っていても、以下のような場合は収益事業から除かれます。(法人税法施行令5②)
・公益社団法人、公益財団法人が行う公益目的事業
・身体障害者及び生活保護者等が事業に従事する者の総数の2分の1以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの等
また、10 請負業を行う場合に、「実費弁償による事務処理の受託等(法人税法基本通達15-1-28)」の定めにより、一定の条件を満たす場合は収益事業とならないことがあります。

◇事業の「受託」と「請負業」

事業を「受託する」場合は受託された事業の内容が何であれ「10 請負業」に該当する場合がほとんどです。国や地方公共団体などの行政機関からの受託も、たとえ実際に発生する経費よりも少ない金額で受託した業務であっても、請負業に該当します。

よくある例は教室やセミナーです。
自主事業である場合(参加者からの参加費や自主財源を用いて独自に開催する場合)の技芸の教授は 「30 技芸教授業」に該当するかを検討します。「30 技芸教授業」にはいくつかの伝統的な技芸が限定列挙されており、それに当てはまらない内容の教室やセミナーは「30 技芸教授業」に該当しません。
しかし、他者から教室やセミナーの開催を「受託」している場合は、たとえ限定列挙されている内容の技芸でなくても「10 請負業」に該当します。

事業内容だけでなく、事業形態もご確認のうえ、「10 請負業」に該当する場合は「実費弁償による事務処理の受託等」が適用できないか検討しましょう。

◇収益事業を行っていない場合

収益事業をいっさい行っていない場合は法人税の申告納税義務がありません。
よって国税に関しては手続きは不要ですが、原則的に都道府県および市町村は均等割りの納付義務があり、申告が必要です。減免が受けられる場合には都道府県・市町村がそれぞれ定める期限までに申請を行う必要がありますが、通常の申告納税期限よりも早い期限を設定している自治体もありますので、必ず確認しましょう。

◇任意団体と法人税

任意団体は法人ではありませんが、一定の要件を満たす場合は非営利型法人と同様に収益事業課税にて法人税の申告納税義務が発生する場合があります。ご注意ください。

◇参考

国税庁『一般社団法人・一般財団法人と法人税』
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/01.htm
国税庁「公益法人等及び人格のない社団等の収益事業課税」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_01.htm
国税庁「実費弁償による事務処理の受託等」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/091228/01_06.htm
国税庁「請負業」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_11.htm
国税庁「公益法人等又は人格のない社団等の収益事業開始の届出」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_4.htm

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