前回は生前贈与を活用した相続税対策についてご紹介しました。
今回は生命保険と不動産を活用した相続税対策についてご紹介します。
1 生命保険の活用
被相続人の死亡により支払われる生命保険金で、その保険料を被相続人自身が負担していたものは相続税が課されますが、この生命保険金には非課税枠があります。
具体的には、相続人に支払われた生命保険金について、
500万円×法定相続人の数(養子がいる場合は一定の制限あり)
を生命保険金の金額から差し引くことができます。
生命保険の加入には年齢制限がありますが、一時払いの終身保険には90歳まで加入できるものもあるようですので、上記の非課税枠を活用するため生命保険への加入を検討するのも良いと思います。
なお、ここでご紹介した生命保険金は相続税の対象となりますが、遺産分割の対象とならず直接受取人のものとなりますので、納税資金対策や遺産分割対策に活用できる場合もあります。
2 不動産の活用
①基本的な考え方
土地について相続税の対象となる金額を算定する際、地域によって路線価方式又は倍率方式で算定しますが、おおむね時価の8割程度になると言われています。
また、建物については固定資産税評価額に相当する金額が相続税の対象となりますが、これは建築に要した費用の5~6割程度になる場合が多いようです。
これらのことから、預貯金等を不動産に組み替えることによって相続財産を圧縮できると考えられます。
②賃貸アパートの建築
更地に賃貸アパートなどを建築した場合、土地については貸家建付地の評価を行うことで上記の金額からさらに1~2割程度下げることができます。
また、建物については貸家の評価を行うことで上記の金額から3割下げることができます。
このように相続税対策としては有効ですが、実際には事業計画や借入を行う場合の返済計画などを吟味し、慎重に判断する必要があります。
③その他
不動産については、生活に欠かせない土地に対する小規模宅地等の特例など、評価を下げることができる規定があります。
不動産を活用した相続税対策を行うときは、それらを検討するとともに、遺産分割対策なども含めて総合的に判断することが重要です。
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