税務

後悔しない贈与のために

贈与とは、子へ、孫へ、友人知人や関わりが深い人へ、生存している個人から別の個人へ財産を無償で渡すことです。贈与は受け取った人に贈与税が課税されます。また、贈与した人が亡くなった場合、その人から受け取った財産が相続税の計算に加えられることがあります。
贈与を行う際は ① 銀行振込で行う ② 受贈者が管理している通帳に振込みをする ③ 贈与契約書を作成する など、客観的な証拠が残るようにすることも重要です。

要件やメリット・デメリットをしっかりと検討したうえで選択しましょう

贈与税がかからない場合

夫婦や親子、祖父母と孫、兄弟姉妹など、扶養義務者からその都度必要な生活費を渡す・払ってあげる場合は、贈与税はかかりません。ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、学費や教材費、文具費などの教育費も含みます。

特定の目的で一括贈与する

住宅取得資金の一括贈与

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、直系尊属からの贈与により、自己の居住用の家屋の新築等のための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。贈与税の申告が必要です。

詳しくはこちら:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

結婚・子育て資金の一括贈与

平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の受贈者が直系尊属から、挙式費用などの結婚資金、保育料や不妊治療などの妊娠・出産及び育児に関する資金に充てるために金融機関等との一定の契約に基づき金銭を取得した場合などには、その価額のうち1,000万円まで(結婚資金は300万円まで)は贈与税が非課税となります。

【最初の手続き】所定の資金口座の開設等及び非課税申告書の提出等
【該当資金の支払い時】金融機関等での手続きと所定の期日までの領収書等の提出等
【契約期間中に贈与者が死亡した場合】管理残額が相続等により取得したものとみなされます。
【契約終了時】残額がある場合はその年の贈与税の課税価格に算入されます。
※令和5年4月1日以後取得分から一部制度が変わっています

詳しくはこちら:国税庁「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm

教育資金の一括贈与

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の受贈者が直系尊属から、学校の入学金や授業料等の教育資金に充てるために金融機関等との一定の契約に基づき金銭を取得した場合などには、その価額のうち1,500万円まで(学校等以外の者に支払われる金銭については500万円まで)は贈与税が非課税となります。

【最初の手続き】所定の資金口座の開設等及び非課税申告書の提出等
【該当資金の支払い時】金融機関等での手続きと所定の期日までの領収書等の提出等
【契約期間中に贈与者が死亡した場合】管理残額が相続等により取得したものとみなされます。
【契約終了時】残額がある場合はその年の贈与税の課税価格に算入されます。
※令和5年4月1日以後取得分から一部制度が変わっています

詳しくはこちら:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm

暦年贈与

贈与税は一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額に対してかかります。その際、110万円までは贈与税が非課税となる基礎控除があります。贈与者が死亡した場合、相続等により財産を取得した人への死亡前3年以内の贈与額が相続財産に加算されます。

【令和6年からここが変わる!】
相続前贈与の加算期間が7年に延長されます
延長した期間(4年間)に受けた贈与のうち総額100万円については、相続財産に加算されません。

相続時精算課税

原則として60歳以上の父母・祖父母などから、18歳*以上の子・孫などが財産を贈与された場合に選択できる制度です。累計贈与額2,500万円までは贈与時に一旦非課税となり、贈与者が亡くなったときに相続財産に加算し相続税として納税します。
一度選択すると撤回できない点や、財産の価格が贈与時点で固定されてしまう点、小規模宅地等の特例が使えない点など、リスクもあるためよく検討して選択しましょう。

【令和6年からここが変わる!】
暦年贈与の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できるようになります
相続時精算課税で受贈した土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合、相続時にその課税価格を再計算できるようになります。
*令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」

特定の贈与者からの贈与について、暦年贈与と相続時精算課税は選択適用です。
一度相続時精算課税を選択したら、以後その贈与者からの贈与はすべて相続時精算課税を適用することになります。管理に注意しましょう!

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