コロナ禍によるダメージへの対応と、教訓とすべきこと

新型コロナウイルス感染症による医業・介護経営に対するダメージは幅と深度が大きく、知り合いの医師会理事の話によると病院では10%から20%減、クリニックでは小児科・耳鼻科・内視鏡関係を中心に大きな患者減となっている。当法人調査でも影響を受けていない施設は皆無に等しい。介護型でも通所系は大幅減で、廃業予定の事業所もあるようだ。今後も受診抑制が続くと思われる中、特に小児科・内科系(内視鏡関係は激減)ではインフルエンザ流行が微少であったことに加え、受診抑制・健診抑制の影響から夏場の資金繰りに窮する懸念があり、緊急融資等により資金ストックを急ぎ行っている事業所も多くある状況である。

特に病院や介護施設系では消費税増税に加え感染防止対策費用の増加で、経費は増加、収入は減少と、資金繰りが非常に厳しい状況だと思っている。

日本医師会の松本吉郎常任理事は、一般患者の受診抑制に伴う医療機関の減収について「診療報酬のみでは限界がある」との認識から、交付金など政府の特例的な対応を「迅速に認めていただいた」と述べ、そのほかの論点として、院内感染を防止する目的で症状の出ていない入院患者に対してPCR検査を実施する場合などの診療報酬上の対応を挙げた。

なお、病院や診療所における患者の受診抑制などによる損失については「特に4月は顕著」と述べ、「医療機関に対する手当ては必要」だが、診療報酬のみでは限界との認識から、「診療報酬以外の交付金、政府の特例的な対応を求めていきたい」とした。

また、厚生労働省は「新型コロナ対策のための全国調査」の結果を公表している。この4回目の調査結果によると、回答した約1,810万人の26.8%が、最近2週間以内の身体や健康について「心配している」と答えた。職種別で、最も高かったのは、「タクシードライバー」(32.7%)。次いで、「ヘルパー・介護」(31.9%)や「運送」(30.1%)、店舗を含む「小売り」(29.7%)、「医療」(29.0%)も高かった。収入や雇用面については、全体の31.1%の人が不安に感じていた。職種別では、「ヘルパー・介護」が24.1%、「医療」は23.6%。収入や雇用面で不安を抱いている人が多かったのは、職業種による大きな偏りはあるが、従事者数規模別では規模が小さいほど多くの人が不安を頂いている傾向が見えた。

今後は、一定の空き病床をコロナ等緊急対応の診療や病床に用いることを行政府が要望するならば、医療機関へ一定の付加金交付を行わなければならないだろう。ボランティア精神で対応をというのは無理であるし、効率化や病床再編等を積極的に行ってきた医療行政においては見直しを行う必要があると考える。

また、経営者は今回のことを教訓として、資金管理や資金ストック(法人か個人で)の重要性を改めて考えて欲しい。お金を大切にする必要があるが、節税ばかりでは資金ストックは進まない。先の震災を教訓に、いざという時の為のその後の対策を進めた結果(納税を伴うが)、収入が無くとも一年間の給与等支払は大丈夫と言われるまでになったクリニック経営者等もいる。良い時もあれば良くない時もあるのが事業である。今後も良い時には様々な準備を進めて頂ければと願っている。

帝国データバンク調べでは、老人福祉事業の19年倒産件数が最多の96件、 運営母体が消滅する破産が9割超となった。今年もかなりのペースで介護系の倒産は続いているが、今後もっと進むと思われる。先に過度な投資を行った介護施設、医療機関は資金管理をきちんと行っていかなければ将来的に資金繰りに窮していくと予想される。

税理士法人近代経営  下條 寛二

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