申告期限から約1ヶ月半が経過しましたが、今回の申告を振り返ると例年以上に医療機関を取り巻く環境の変化を実感させられる内容だったように思います。
全体的な印象として、特段目立った補助金収入等がなかったこともあり、診療報酬を中心とする総収入は伸び悩む中、様々な経費が増加しており、とりわけ人件費の上昇が顕著でした。給与・賞与といった直接的な費用に加えて、求人関連の広告費や手数料などの間接的な費用も増えており、これまで比較的安定して職員を採用し、かつ一定の利益を維持出来ていた医療機関にも物価高騰・人件費高騰の波が着実に押し寄せつつあると感じられました。
人件費については、令和8年度診療報酬改定にてベースアップ評価料の拡充が進められ、職員の処遇改善に取り組みやすい環境は整いつつあります。一方で、このベースアップ評価料で得られた診療報酬はその全額を賃金等に充てることが前提であるため、算定により増収となっても直接的に医療機関の収支改善にはつながらないことから、今後どのようにして利益を確保していくか、院長先生は難しい判断とより一層の工夫が求められる局面に入ったと言えるのではないでしょうか。
人口減少も着実に進行しており、今後は増収による収支改善はより困難になると見込まれるため、利益確保のためには否応なしに支出の見直しが求められます。支出の見直しと言えば、相見積りによる納入価の見直しや代替品への変更などが一般的ですが、会計実務に携わる中で、これまで十分に見直されてこなかった長期契約となっている広告費などの固定費についても費用対効果を丁寧に検証し、無理のない範囲で最適化を進めていく必要があるのではと感じています。そこで、まずは手始めに事業用の通帳に目を通し、対象となる支出がないか確認されることをお勧め致します。自院の資金の流れを改めて把握することが、収支改善につながるヒントを見つけるスタートになるはずです。
医療経営支援チーム
園木 暁