令和5年12月22日に令和6年度税制改正大綱が閣議決定されました。主に大綱の概要に記載のあるものから、個人と中小企業に関連する部分を、簡単にご紹介します。
その他、令和7年度税制改正において、一定の条件が満たされることを前提に、扶養控除の見直しについて結論を得ることとされました。また、令和5年度税制改正大綱で記載のあった防衛増税については、令和8年以降となる公算が大きくなっています。
個人所得課税
〇所得税・住民税の定額減税
令和6年分の所得税・令和6年度分の個人住民税について、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1人につき、所得税3万円・個人住民税1万円を控除します。ただし、納税者の合計所得金額が 1,805 万円以下である場合(給与所得の場合は収入金額2,000万円以下)に限ります。
〇住宅ローン控除の拡充(子育て支援税制の先行対応)
住宅ローン控除について、令和6年限りの措置として、子育て世帯に対し、借入限度額を、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は 4,500 万円、 省エネ基準適合住宅は 4,000 万円へと上乗せします。また、床面積要件を緩和します。
なお、子育て世帯等とは、夫婦のどちらかが40歳未満の者又は19歳未満の扶養親族を有する者がいる世帯を言います。
資産課税
〇法人版事業承継税制の特例措置に係る特例承継計画の提出期限の延長
法人版事業承継税制の特例措置について、特例承継計画の提出期限を、令和8年3月31日まで2年延長します。ただし、この特例措置自体の適用期限(令和9年12月31日)は、今後も延長されない見込みです。
〇住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、要件の見直しを行った上、適用期限を令和8年12月31日まで3年延長します。
法人課税
〇賃上げ促進税制の強化
中小企業向けの措置について、教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、教育訓練費の増加割合が5%以上等である場合に適用できることとし、「くるみん」や「えるぼし(2段階目以上)」の認定を受けた場合に税額控除率に5%を加算する措置を加え、5年間の繰越控除制度を設けた上、その適用期限を3年延長します。(令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度について適用されます。)
「くるみん」「えるぼし」は、女性の仕事と子育ての両立を支援・サポートしている企業に対して、厚生労働省が認定し取得できるものです。
※中小企業は、賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額を5年間の繰越が可能
〇中小企業の交際費課税の特例の拡充及び延長
交際費等の損金不算入制度について、損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人当たり 5,000 円以下から1万円以下に引き上げます。(この改正は令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用)
また、定額控除限度額(年800万円)までの全額を損金算入できる特例措置の適用期限を3年間延長します。
納税環境整備
〇不正申告を行った株式会社の役員等に対する徴収手続の整備
偽りその他不正の行為により国税を免れた株式会社の役員等(株式会社の発行済株式の 50%超を有し、偽りその他不正の行為をした者等に限る。)は、株式会社等から徴収不足となるときに限り、株式会社等から移転した一定の財産の価額を限度として、その国税の第二次納税義務を負うこととします。
(注)この記事は令和6年度税制改正大綱に基づき、概要の一部をまとめたものです。今後国会において記事と異なる内容が制定される可能性もあります。詳しくは財務省ホームページ等をご覧ください。
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