非営利系

特定費用準備資金についての具体例を紹介する『特費のすすめ』

新型コロナウイルス感染症の流行により思うように事業が実施できず、収支相償公益目的事業比率遊休財産の保有制限といった認定基準を満たすことが難しい公益法人が増加しています。
いずれの認定基準にも効果的なのが特定費用準備資金ですが、どのような事業が特定費用準備資金として認められるのか。いままで所管課に個別で相談されていたと思いますが、先日、内閣府から具体的な積立例を紹介する『特費のすすめ』が公表されました。
大きく以下の3種類の積立例が紹介されています。

①将来の費用支出の増加が見込まれる場合
「50周年記念事業」「建物修繕」「事務所移転」といった新規事業の開始や既存事業の拡大、数年周期で開催する事業が挙げられています。積立て可能期間は最長10年を目安とし、期間の変更については原則1回とする(やむを得ない理由に基づく場合を除く)、などとされています。

②将来において見込まれている収支の変動に備える場合
収入の減少見込みを合理的に説明が出来る場合に、その範囲内で、既存事業の安定的かつ持続的な実施のために事業費用を積み立てる事例が紹介されています。収入が減少傾向にあることが見て取れる、もしくは収入が多い年度(事業)と少ない年度(事業)が交互に存在するようなサイクルになっている、など、特に収支相償の要件を恒常的に満たすのに有効と思われます。

③法人の責に帰すことができない事情により将来の収入が減少する場合
政策変更に伴う補助金の削減や、新型コロナウイルス感染拡大による事業の中止など、やむを得ない事情により今後の収入減少が高い確率で見込まれる場合、既存事業の安定的かつ持続的な実施のために事業費用を積み立てる事例が紹介されています。
「収入の減少の蓋然性の高さの説明が必要」とされているので、「今後補助金等が減ってしまうのではないか」と懸念しているだけではなく、補助金の交付元の認識を共有しておく必要などもあるかもしれません。

特定費用準備資金を積み立てるには具体的な計画や事前承認といった取り扱いの要件があり、計画的に実施しなければなりません。
定期的に実績の管理をし、特定費用準備資金を積み立てる必要があるかどうかを検討し、必要であれば計画の方向性を決めた上で、必ず所管課に事前に相談しましょう。

出典:公益information 特定費用準備資金についての広報資料『特費のすすめ』(令和4年6月14日)
https://www.koeki-info.go.jp/pdf/20220614_tokuhinosusume.pdf

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