非営利系

非営利型法人の決算事務・手続きのポイント

1.決算に関連するスケジュールを把握しましょう

決算の主な事務・手続きの内容および順番は以下の通りです。

①事業報告書や計算書類の作成
…未収金や未払金などがある場合は、それらが確定するまでは計算書類は完成しません。
全体のスケジュールから逆算して、いつまでに確定させるべきかを考えましょう。
②監事による監査
…監査によって指摘・修正が生じることも念頭に置き、理事会開催までに余裕が持てる日程を設定しましょう。
③理事会の開催
…理事会の開催日と社員総会・評議員会の開催日の間の期限を指定してある場合もあるので注意。開催の決定や招集通知の送付といった手順も確認しておきましょう。
④社員総会・評議員会の開催
…事業年度終了後3か月以内。開催の決定や招集通知の送付といった手順も確認しておきましょう。
⑤管轄の行政庁への事業報告(義務がある法人のみ)
…事業年度終了後3か月以内
⑥登記手続き(登記事項に変更が生じた場合)
…変更が生じた日から2週間以内、など期日が決められているので注意。

すべての工程を終えるまで多くの人が関わりますので、最初の段取りが重要です。
まずは期限が明記されている④社員総会・評議員会の開催時期をおおよそ決め、そこから③→②→①とそれぞれの実施日や期限を考えていきます。
また、上記のほかに法人税や消費税の申告納税が必要な法人はそれも組み込みましょう。

決算事務等についてこちらもチェック →法人の決算~基礎・対策・手続き~
法人税についてこちらもチェック →非営利型法人と法人税
消費税についてこちらもチェック →非営利型法人と消費税

2.決算時にそれぞれの要件を満たしているかも確認しましょう

非営利型法人は法人格によって満たすべき要件が定められています。計算書類に関連する要件もありますので、決算の際に必ず確認するようにしましょう。
⑤管轄の行政庁への事業報告に要件の確認が含まれている場合は、可能であれば報告書を作成しながら確認すれば確実ですし、最後の報告がスムーズに行えます。

  一般社団・財団法人についてはこちらから →要注意!非営利型の一般社団・財団法人の要件
  公益社団・財団法人についてはこちらから →公益社団・財団法人とは  

3.収益事業と非収益事業の区分経理をしっかりと行いましょう

非営利型法人は法人税法上の収益事業を実施している場合に、収益事業のみを申告します。
・行っている事業が収益事業かどうか
・非収益事業も同時に実施している場合はそれぞれの収入および費用はどのように区分するか
・区分できない収入や費用はどのように按分計算するか
などをしっかり判断し、適切に収益事業に該当する収入および費用を集計し、適切に申告納税しましょう。

4.監事監査を受けましょう

数字に関するものだけでなく、事業内容や内部の意思決定の手続きが決められた方法に基づいているかなども確認されます。
終了したら監査報告書の作成が必要です。
(監事を設置していない法人は不要です)

5.理事会、社員総会/評議員会を開催しましょう

成立要件や手順を確認し、適切に招集から開催まで実施しましょう。
感染症対策として書面決議やオンライン開催など、実際に集まらない形式での開催も増えています。初めての形式で開催する場合は環境の整備などが必要です。
それぞれ、議事録の作成が必要です。
(理事会を設置していない法人は理事会の開催は不要です)

役員の改選や交代がある場合は、それぞれの要件を満たした人員構成になっているか注意が必要です(3の各法人の要件参照)。また、登記手続きも必要になるため、速やかに手配しましょう。

6.報告書の提出までお忘れなく

管轄の行政庁への報告書提出(義務がある法人のみ)が終わり、必要な登記等も終われば、決算はひと段落です。

弊社も4月~5月は3月決算法人様方の決算で第二の繁忙期となります。
長丁場になりますが、しっかりとスケジュールを立てて進めていきたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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