税務

法人の決算 ~基礎・対策・手続き~

一会計年度(事業年度)における「収入」と「費用」および期末時点の「資産」と「負債」を確定させる手続きが決算です。
また、決算に伴い会社法等で定められている必要な手続きがありますので、それらも踏まえて決算の段取りを行いましょう。

0.事業年度内に対策を

事業年度が終了する前に可能な決算対策を行いましょう。
節税対策も事業年度内に実施する必要があります。

事業年度内は適時会計帳簿を作成保存する必要があります。

1.決算事務

事業年度が終了したら、おおむね2ヶ月以内に決算を行います。以下のポイントを押さえて事業年度の収入および費用を確定させましょう。法人税および消費税も計算します。

決算時に各事業年度に係る計算書類(貸借対照表損益計算書等)及び事業報告並びにこれらの附属明細書等を作成し保存する必要があります。

Point① 現金・預金
現金は実際の現金残高を確認し、帳簿と一致しているかを確認しましょう。残高を証明するために金種表を作成することをお勧めします。
預金は事業年度が終了したのち記帳したり、残高証明書を取得したりして、必ず事業年度末日の残高が確認できるようにしましょう。

Point② 売掛金・未収金
事業年度の収入のうち、事業年度末日までにまだ入金されていないものを計上し、事業年度の正しい収入金額を把握しましょう。本来の事業の売上げだけでなく、受け取ることが確定している補助金なども含まれます。

Point③ 棚卸し
事業年度内に購入しているけれどまだ販売していない商品使用していない材料等を事業年度の費用から除きましょう。未使用の消耗品切手収入印紙なども貯蔵品として棚卸しの対象となります。
期末時点の棚卸資産の「品名」「単価」「数量」「合計金額」を記載した棚卸表を作成しましょう。

Point④ 前払金・前払費用
事業年度内に支払いしているけれど納品やサービスの提供が行われていないものを事業年度の費用から除きましょう。期間按分等が必要な場合もあります。

Point⑤ 備品・資産
備品や固定資産のうち、処分したり売却したりしたものを処理しましょう。

Point⑥ 買掛金・未払金
事業年度の費用のうち、事業年度末日までにまだ支払いしていないものを計上し、事業年度の正しい費用金額を把握しましょう。

Point➆ 前受金
事業年度内に受け取っているけれどまだサービスの提供を行っていないものを事業年度の収入から除きましょう。

Point⑧ 貸付金利息
法人が代表者などの個人や法人に対して金銭の貸し付けを行っている場合、利息を受け取らなければなりません。事業年度内に貰っていない場合は未収金として計上しましょう。

2.監査

監査役を設置している法人は、1の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書について、監査役の監査を受けなければなりません。
監査報告書を作成する必要があります。

3.取締役会/理事会

取締役会や理事会を設置している法人は、2の監査を受けた計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書について、会の承認を受けなければなりません。
議事録を作成する必要があります。

4.株主総会/社員総会/評議員会

1・2の監査及び承認を得た計算書類については、定時株主総会(または社員総会、評議員会)の承認を受けなければなりません。
議事録を作成する必要があります。

5.申告・納税

決算が承認されたのち、法人税等の申告を行います。(消費税は決算承認前に申告することもあります。また、決算承認よりも先に納税することもあります。)
原則は事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内が申告納税期限ですが、総会等の開催時期にあわせて法人税や消費税の申告期限を1か月延長することもできます(事前申請が必要)。

6.公告

公告の義務がある法人は速やかに所定の方法で公告を行いましょう。

7.登記

決算時には役員の変更登記医療法人の資産総額の変更登記など、登記手続きが必要になる場合があります。期限内に登記しましょう。

8.事業報告等

医療法人、NPO法人、公益法人、社会福祉法人などの管轄の行政庁等へ報告書等の提出が義務付けられている法人は、忘れずに提出しましょう。期限は主に事業年度終了後3か月以内とされています。

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