非営利系

非営利型法人と源泉徴収義務

給与・報酬等の支払いを行う場合、事業者には源泉所得税を預かり納付するという源泉徴収義務があります。個人事業者や株式会社等と同様に、非営利型法人および任意団体も源泉徴収義務者となります。また、法人税・消費税の申告納税を行っていなくても、源泉徴収義務がある場合、源泉所得税単独の税務調査も実施されます。

◇源泉徴収義務とは

源泉徴収義務とは以下の手続きを行う義務であり、源泉徴収義務がある法人等を源泉徴収義務者といいます。
①源泉所得税の預かり
人を雇って給与を支払ったり、講師に講演料を支払ったり、税理士・弁護士・司法書士などに報酬を支払ったりする場合に、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税(=源泉所得税)を差し引く(=預かる)。
②源泉所得税の納付
差し引いた所得税及び復興特別所得税を(原則として実際に支払った月の翌月10日までに)国に納付する。

◇源泉徴収義務者

個人事業主、すべての法人、および任意団体は、源泉徴収しなければならない支払いが生じる場合、源泉徴収義務者となります。
新たに源泉徴収義務者となる場合は税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出するなどの手続きを行いましょう。

詳しくは→国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2502.htm

◇源泉徴収の対象となるもの

〇給与・賞与・退職金

国税庁の源泉徴収税額表に従って源泉徴収を行ってください。

国税庁「令和3年分 源泉徴収税額表」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2020/02.htm

原則は実際に支払った月の翌月10日までに源泉所得税を納付しなければなりませんが、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉所得税を半年分まとめて納めることができる特例があります(納期の特例)。事前申請が必要です。

詳しくは→国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm

〇源泉徴収が必要であると定められている報酬

源泉徴収が必要な報酬は所得税法第204条第1項に列挙されています。以下は代表例です。
なお、源泉徴収が必要とされているのは「個人に支払う」報酬であり、同様の内容であっても「法人に支払う」報酬については源泉徴収の必要はありません

詳しくは→国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm

・原稿料や講演料など

個人に原稿料や講演料を支払う場合は、源泉徴収する必要があります。
講師等に支払う交通費や宿泊費等も、支払う側が直接交通機関や宿泊施設に費用の支払いをしない限り、源泉徴収の対象となります。

詳しくは→国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm

・税理士・弁護士・司法書士等への報酬

税理士等の個人に報酬を支払う場合は、源泉徴収する必要があります。
税理士等に支払う交通費や宿泊費等も、支払う側が直接交通機関や宿泊施設に費用の支払いをしない限り、源泉徴収の対象となります。
税理士法人・弁護士法人・司法書士法人等の法人への報酬は源泉徴収する必要がありません。

詳しくは↓
国税庁「No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm
国税庁「No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2801.htm

◇付随する手続き

給与・賞与の支給がある場合年末調整等を行い、源泉徴収票を発行しましょう。
あわせて、提出要件に当てはまる源泉徴収票を税務署へ、および給与を支給した全員分の給与支払報告書を市町村へ提出する必要があります。

報酬等の支払いがある場合支払調書を発行しましょう。
あわせて、提出要件に当てはまる支払調書を税務署へ提出する必要があります。

くわしくは国税庁が公開するその年分の『年末調整のしかた』『給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』をご確認ください。

国税庁『令和3年分 年末調整のしかた』(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2021/01.htm
国税庁『令和3年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』 (https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2021/index.htm

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