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第3話 大邱(てぐ)での展開2

 素晴らしい栄養素が高い食材でありながらもなかなか芽が出ていない田舎の小さな工場をバックアップできる工場も新設し、日朝の良き食材が日朝それぞれの国に提供できる事から市場は瞬く間に大きく成長、一気に朝鮮全土と日本にも拡がっていった。互いの国の良いところを出そうとの考えが人の心に響いていった。 

 次の事業は書店経営であった。特に母の力の入れ方は尋常でなかった。母の家系は代々教育者であり実学者でもあった。その遺伝子が働くかのように母の教育への目は輝いていた。まず大邱中心街に集中している出版社をはじめ、朝鮮の主要都市を一件一件訪ねて、「もっともっと教育界の人たち、実業界の人たち、文化スポーツの人たちへの取材や出版を行って欲しい。これから各地に書店をつくりますから」と篤く語った。そのことから各出版社も水を得たかのように、動きが活発になり、多くの本が生まれてきた。月刊誌三十冊も生まれ、書店が新たに百か所以上オープンした。 更に経済の基礎は経理であることから「経理学校」を設立、多くの学生が学び始め、学校の人気から全土に十校も開校へと進んだ。 

 さらに、良い食材を使った料理が大切と、当時としては考えられない「料理学校」も開校、その具体的な研修も出来る現場としての料理店もオープン、この料理店も全土に十店の開店へと進んだ。朝鮮の人たちへの食生活を研究し、日朝の良いものは取り入れ、体には少し問題のある食材には、愛用している事から改良に改良を加えて良い食材に変化できる研究も進めていった。 

 このように目まぐるしい事業展開に、気がついてみたら多くの社員を有する大きな組織へと成長していた。両親ともいつも着物姿ではあったが、数着の着物を大事に使っていた。綻びは同色系で縫っていたので目立たず新品のように感じる着こなし振であった。質素倹約は先祖代々からの家訓でもあった。ただ事業や社会への投資は惜しまなかった。 

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