遠隔診療を巡るこれまでの変遷

ICT、IOT、AIなどの言葉に代表される情報技術の急速な進展により、様々な産業において変革が起こりつつあります。医療においてもその波が着々と押し寄せており、今回の診療報酬改定にも「先進的な医療技術の適切な評価と着実な導入」への対応として、「遠隔診療の評価」が盛り込まれました。

 これまでも遠隔診療自体は可能でしたが、事実上解禁となったのは2015年と言われています。その障壁の一つとなっていたのが、医師法第20条に規定される「無診察診療の禁止」で、直接対面診療を行わない遠隔診療は、医師が自ら診察せずに処方箋等を交付することを禁じた医師法第20条に抵触する恐れがあると解釈されてきました。1997年に旧厚生省から出された通知においても遠隔診療の対象を「離島やへき地の患者など直接の対面診療が困難な場合」と示しており、遠隔診療を行うことは困難な状況でした。
しかし、その後、徐々に解釈が改められ、2015年の厚生労働省事務連絡において、1997年に通知した「離島、へき地の場合」はあくまで例示である旨が示されたことから、これまで対象とならなかった患者に対しても遠隔診療を行うことが出来るようなり、事実上の解禁となりました。

さらに2017年に閣議決定された「規制改革実施計画」において「遠隔診療の取扱いの明確化」や「遠隔診療の診療報酬上の評価の拡充」が盛り込まれたことを受けて、遠隔診療に関する解釈がさらに整理されました。そして、今回の診療報酬改定において「有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすこと」を前提に「オンライン診療料」が新設されるなど、遠隔診療は国家戦略の一つとして導入が押し進められています。  

今後、遠隔診療の本格的な導入がどのような影響を及ぼすか未知数ですが、より深刻さを増す地方の過疎化・高齢化、そしてそれに伴う交通インフラ網の再編など、従前とは大きく異なる社会への変革期に直面する中で、医療機関と患者を繋ぐ必要不可欠な手段となる日もそう遠くないのかもしれません。

出典 厚生労働省「情報通信機器を用いた診療の経緯について」H30.2.8
     〃  「平成30年度診療報酬改定の概要 医科Ⅰ」 H30.3.5
    内閣府 「規制改革実施計画」H29.6.9 閣議決定

記事:医療経営支援チーム

PAGE TOP